kokoro 日本の心

単なる雑記です。

スペイン語学習、スペイン語検定受験のための役立つ参考書に関して

こんにちは

メキシコで15年仕事をしていた時はほとんどスペイン語で仕事をしていた訳だが、最初から話したり書いたりできた訳ではない。

大学は文科系の経営学部で語学とは無縁の生活だったし、部活に熱中して経営学の勉強すらほとんどしないままに卒業した。

卒業時は英語もロクに話せず、入社時のTOEICでは350点くらい。

今はスペイン語検定、ビジネススペイン語検定ともに1級を取って、TOEICは800点になったのだが、外国語大学でスペイン語を専攻していない私が、どのように勉強して語学能力のレベルを上げたのかを紹介したい。

 

1.パナマ時代(1985年~86年)

入社後、すぐに社命でパナマに研修生としての2年の勤務を命ぜられ、そこで始めて英語とスペイン語の両方に接するようになった。

しかもパナマが人生初の外国である。

今から思えば欧州とかアジアとか希望すれば良かったな~と思うが何を思ったか自らパナマを希望してしまった。

今でこそ海外でも、アフリカの奥地は別にして、大体どこにいようとネットで日本のテレビやニュースがタイムリーで見れるが、当時は新聞は3日遅れで郵便で届き、メールはエアメール(郵便)、日本に電話しようと思えば電話局に行って国際電話を申し込まなければできないような通信事情で、日本語に普段接することは少なかった。

それならスペイン語も英語も集中して勉強できたはずだ。と皆さん思うだろうが、まったく進まなかった。

なぜか?

研修生なので会社から「最初の1年は現地の大学に行け、大学に行って友達をどんどん作って来い、あとの1年は現地会社で研修しろ、さすればスペイン語自然と出来るであろう。できるはずだ。」

こんな感じだったし、私もそんなもんかな~と思っていたので、日本の社員向け語学研修所で一通りスペイン語の基礎を集中的に6カ月教わり、パナマに赴任。

手回し良く手続きもしてあって、すぐに現地の私立大学に行った。

パナマ人の学生のみ出席している経済学の授業に出席せよ。との指示で着任して早々に参加したのであるが、当たり前のことでまったくちんぷんかんぷんであった。

パナマの私立大学は、クラスと言っても高校の授業のように40人ほどの授業で今から思うと相当アトホームな感じだったが、教授も最初に、私のことを日本の大学を卒業した優秀な学生が来た。と紹介してくれたものだから学生も興味しんしんである。

そこで一番最初の授業の時に教授がいきなり私に質問して授業の内容についてコメントを求められた。

しかしこれは本当に困った。さっぱりスペイン語を理解していなかったから。

授業の内容もわからない上に何を質問されたのか、質問の内容すらさっぱりわからない。

答えようがなく、じ~と固まっている私を見て、あ、こいつスペイン語できないなと教授も思ったらしく、親切にも同じ質問を英語でしてくれたのだが、TOEIC350点である。

英語でも何を言われたのか良く分からない。

スペイン語よりは少しくらい質問の意味がわかったのだが、頭の中は真っ白で答えられない。

「あ~、う~」と言っているうちに、教授も私の本性を見抜いたのであろう。

話題を変えて他の学生に質問を振った。

その後、2~3回、そういうやり取りがあって以降、まったく質問されなくなって助かったのだが、この時に「大学に行くなんて10年早い、家庭教師をつけて基礎からもう一度勉強しよう」とすぐに気づけば良かったのだが、馬鹿な私はそうは思わず、友達を作れば自然とスペイン語はマスターできるという本社の言葉を信じて、せっせとわからない授業に出席し続けて、友達は出来た。

また、住むところも下宿にして現地人の家庭の一室を間借りて、食事を共にしながら生活した。

で、結果は2年の研修生活(1年大学、1年会社研修)で友達はたくさんできて日常会話はしゃべれるようになった。

しかしそこで満足してしまったのだが、今から思えばビジネスに役立つレベルには全然達しておらず、語彙力もなく、文法知識もまるで幼稚なレベルであった。

スペイン語ラテン語から派生した言語で、長い歴史があり、文法はかなり複雑である。

またスペインだけでなく多くのラテンアメリカの国々で話されているうちに単語が豊富になり、地域地域でその地方特有の方言も生まれてさらに学習者を悩ませる。

当時は今のように多くの参考書などもなく(今でも英語等に比べるとスペイン語の参考書は多くはないが)、文法書1~2冊と西和、和西辞書だけパナマに持参したものだったが、そのパナマは毎日気温が30度、湿気の多い常夏の国で、冷房もない下宿の一室ではとても勉強する気にならず、真面目に机に向かわずに毎日友達作りにせっせと励んでいた。

しかしはっきり言えるのは語学をある程度上級レベルまでマスターするには

日常生活で友達としゃべったり、または毎日決まった仕事をして決まった単語を使うだけでは無理。 

意識的に勉強しないと、日常会話レベルの幼稚なレベルまでしか到達しない。

ということである。

上級レベルまで達するには、それなりに意識して勉強しないと難しい。

そりゃ友達をたくさん作れば良いに越したことはないが、意識して勉強しないといつまでの日常会話レベルの「なんちゃってスペイン語」のままである。

したがって参考書など豊富にない時代、パナマでは家庭教師か語学学校に通ってもっと深く勉強すべきだった。

 

2.メキシコ勤務(2000年~08年)1回目

なんと86年にパナマから帰国して95年まで9年間、国内営業を担当、その間もちろん日本語しか使わずスペイン語も英語もすっかり忘れてしまった。

パナマに研修に社命で行かせて、帰国後に国内営業に配属するなど、会社にどんな人材育成方針があるのか疑問に思ったものだ。

その後95年から国内の海外事業部門に転勤して中南米を担当しスペイン語をまた仕事で少し使い始めたのだが思い出すのに苦労して、英語でもっぱらコミュニケーションしていた。

これでTOEICの点が少し上がった。

で、ついに2000年にメキシコに赴任。

パナマでいい加減にスペイン語を勉強していたし、その後国内営業である。

現地で実際仕事に入ると日常会話はわかるがスペイン語での細かな意志疎通となると難しくて会議でも最初の3カ月くらい理解度は30%くらいだった。

が、それなりに8年現地で仕事をしていると日常会話も極めてブロークンながら仕事では支障がなくなるレベルまでにはなる。

ただし文法は今から思うとメチャクチャで、良くこれで上司づらができたものだと冷や汗ものだ。

それにこの時は家族連れでのメキシコ赴任で休日は幼い子供の面倒を見たり、買い物につきあったり、夏休みなどは旅行したりでとても語学の勉強を落ち着いてできる環境でもなかったので、意識してスペイン語の勉強はできなかった。

パナマで覚えたブロークンスペイン語のレベルが少し上がっただけである。

ただ覚えた単語数は少し増えたが。

 

3.メキシコ勤務(2013年~20年)2回目

今回は単身赴任である。

休日は結構時間を持てたこともあり、スペイン語を意識して勉強しようと一念発起。

目標として文科省推薦、日本スペイン協会主催の「スペイン語技能検定」1級合格を目指すことにした。

スペイン語技能検定は1級から6級まであり、それぞれのレベルは下記である。

 6級 基本動詞短文の読み書き、直接法現在    合格率約81%

 5級 やさしい文章の読み書き、直接法終了    合格率約76%

 4級 簡単な日常会話、文法を一通り修了     合格率約72%

 3級 新聞などを理解、一般ガイドに不自由しない 合格率約14%

 2級 ラジオ、テレビを理解 一般通訳ができる  合格率約7%

 1級 会議通訳、文学通訳、専門ガイドができる  合格率約6%

 

で、まず自分のレベルがどの程度か知ろうと思い、4級と3級を同時に受けたのだが、これは一回で合格してしまった。

で、次に2級を受けたのだが、まったく歯がたたなかった。

その後、3回くらい2級を受験したが、筆記で合格しても面接で落ちるなどで、すべて失敗してしまった。

試験問題は、筆記が90分、西文和訳4~5問、和文西訳4~5問、専門性のある単語の日本語訳等である。

筆記に合格すると後日、面接があり、あるテーマについて10分程度でコメントせよと言うもの。

筆記、面接で合格するには2級以上は80%以上の正答率が必要である。

まず筆記でも面接でも、その時の時事問題や環境問題、詩や和歌、ことわざを日本語訳せよとか、日本文化に関連するテーマが多く出題されたりする。

例えば、「温室効果」、「CO2削減」、「石の上にも3年」を訳せという出題。

面接では「女系天皇についてどう思うか?」などの日本語でも答えられないようなテーマである。

普段の仕事ではほぼ使わない単語や文章を習得しなければ合格は無理である。

また文法的に正しい文を書く、話すという能力も必須である。

そこで、下記のような勉強を継続した。

 

 1)辞書

    電子辞書は必須である。

    Casioの「EX Word] を使っている。

    電子辞書のHistoryにこれまで検索した単語の経歴が残るので、

    たまったら2)の単語帳アプリに移す。

    また現地で買った高校生向けの西西語辞書でたまにスペイン語での

    意味を確認するなどした。

    またGoogleでわからない単語を検索すると西語でも日本語でも

    結構細かく意味を表示してくれて理解を助けてくれる。

 

 2)単語の暗記

    語学学習においては地道な作業だが単語の暗記は必須である。

    暗記している単語は多ければ多いほど良い。

    新聞、雑誌、TV、問題集、参考書等でわからない単語は、

    かたっぱしから単語帳に記入して通勤の合間や休日に暗記していった。

    スマホのアプリで単語帳アプリは山ほどあるが、下記が私の使った

    アプリである。

     「わたしの読み上げ単語帳」

    これは非常にシンプルで使い安い。

    読み上げ機能を利用して夜、寝る時に音声で覚えながら寝ると

    いうこともやった。

    このアプリに7年間に記録した新しい単語だけで8千語くらいある。

    これまで記憶していた基礎的な単語は3千語くらいと思うので、

    8千語と合わせて1万語強の単語を覚えている。

    覚えても普段使わなければすぐ忘れるので、忘れたらまた単語帳

    に記録する。

    覚えては忘れる、また覚えるの果てしない繰り返しである。

 

 3)スペイン語文法

    スペイン語文法は非常にややこしい。

    まず他動詞、自動詞、再帰動詞、それぞれの構文の違いを頭に

    入れておかなければならない。

    語順が比較的自由なので、上記を理解していなければ主語が

    どこにあるか混乱してわからなくなるのである。

    そして再帰動詞の「Se」の使い方が何通りかあるので、これも

    使い方を良く学習しておかないとまったく頓珍漢な文章を書いた

    りしゃべったりすることになる。

    それでも心優しいネイティブには通じるのだが、友人ならいざ

    知らず、教養のある人と話す時などは正しく話が出来ないと恥ず

    かしい。

    私もこの再帰用法は最初さっぱり分からなかった。

    この難関の再帰用法を理解しやすく解説してくれているのが下記の

    参考書である。非常に分かりやすい。

    目からうろこである。熟読した。

    いろいろこれまで文法書を読んだが、この本で再帰用法は良く理解

    できた。

日本語と比べるスペイン語文法

日本語と比べるスペイン語文法

  • 作者:三好 準之助
  • 発売日: 2016/08/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

   あとは接続法についてのドリルである。

   この本は、ドリルになっているが、接続法の用法、使い方について

   細かく整理されており、その後ドリルで学習するようになっている

   ので使いやすい。

極める!  スペイン語の接続法ドリル

極める! スペイン語の接続法ドリル

  • 作者:菅原 昭江
  • 発売日: 2016/01/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 4)スペイン語作文 

    スペイン語検定受験において、西文和訳は何とかごまかせて

    訳せても、和文西訳は文法知識と単語力がなければごまかしが

    きかない。

    そこで下記の問題集で集中的に勉強した。

    特に構文編は自動詞、他動詞構文について詳しく説明しており

    役に立つ。

    表現編は様々な表現が網羅しており、表現力の強化に役に立つ。

    環境問題や政治、経済関連テーマの作文例も出題されており、

    スペイン語検定の出題傾向と割と一致している。

    この2冊を徹底してマスターすれば、和文西訳はばっちりだと思う。 

スペイン語作文の方法 構文編

スペイン語作文の方法 構文編

 

  

スペイン語作文の方法 表現編

スペイン語作文の方法 表現編

 

 

   他にもいろいろ参考書類はあるが、上記の参考書は推薦できるので

   受験される方にはぜひお勧めである。

   この参考書で仕事の合間に勉強を続けて、5回目の挑戦で2級の

   試験にやっと合格し、その1年後に1級に合格した。

   一方、ビジネススペイン語検定の受験も並行して行った。

   ビジ検の方は常に仕事で使っている単語や言い回しが出題されるので

   ビジネスマンには比較的易しい。

   2級を受験し一度面接試験で落ちたが、受験料ももったいないので

   1級に上げて再度受験し、一発で合格した。

 

 4.まとめ

   スペイン語検定合格はスペイン語を継続的に勉強するためのモチベー

   ションになった。

   目標がなければ、地味な語学の勉強は継続できなかっただろうと思う。

   しかし合格してもまだネイティブレベルには程遠いと感じる。

   これはスペイン語検定の出題範囲が日本文化や時事問題などに偏って

   いることが原因でないかと思う。

   普段の会話で誰が日本の和歌やことわざをスペイン語に訳して語る

   だろうか?

   もっと広く深くスパイン語の能力を測定するにはやはりDeleの方が

   権威があると思うので、これからはDeleを受験して行こうと思う。

   しかしこれまでの経験で、外国語大学でしっかり基礎を勉強して

   いない人がスペイン語を学習してレベルを上げ、検定やDeleの資格も

   取得したいのであれば、

   1.単にローカルと交流したり、仕事で普段使うだけではレベルアップ

     は望めない。 ブロークンな会話能力しかつかない。

   2.複雑な文法をしっかり押さえる必要がある。

   3.文法に基づいた作文能力を身につける。   

   4.語彙力は継続的、意識的に増やす。

 

   語学の学習は果てしない、継続して勉強を続けなければすぐ忘れる。

   私の経験がスペイン語学習者の参考になれば幸いである。

   

    ではまた