kokoro 日本の心

単なる雑記です。

検疫生活13日目 スペイン語学習について

こんにちは

検疫生活も13日目になり、あと残すところ今日、金曜日と明日の土曜日のみで日曜日には自宅に帰ることができる。ホテルで2週間、あまり外に出ない生活を送るなど人生でこれまで一度も経験したことのない貴重な体験をさせてもらった。そもそもコロナウイルスへの感染が疑われるから海外からの帰国者は国を問わず2週間隔離されるのだが、メキシコの場合はメキシコが感染レベル3なので帰国時のPCR検査の対象になっていない。それでPCR検査はなし、2週間隔離だけしてその間に発症すればクロだとしているのだが、欧州等レベル2からの帰国者は帰国時にPCR検査が義務付けられ、その結果を待つのに6時間くらいかあり、仮にシロであっても2週間の隔離が必須である。PCR検査の結果が100%信用できないからクロでもシロでも2週間の隔離だ。もっと短時間で100%確実な検査方法があれば、成田空港到着時に帰国者をすべて検査して結果が陰性であれば隔離生活しなくても良い、陽性であれば隔離して治療というように早くならないものであろうか。もし無症状者であればPCR検査なしで2週間隔離してもあまり意味がないと思う。日々検査方法の改善やワクチンなどの治療薬の開発を世界中で血眼になって進めているのであろうから、もっと時間のかからない確実な検査方法が早期に確立されることを望む。

ところでこの隔離生活中は時間がたくさんあるのでスペイン語のおさらいをして時間を潰しているのだが、15年以上もスペイン語と付き合ってきて、メキシコ勤務中にスペイン語検定1級、ビジネススペイン語検定1級を取得したにも関わらず、今更ながらネイティブのレベルまで達するのはまだ先が遠く難しいものであると感じる。新聞やテレビのニュース等は軽く理解できるし、仕事にも何の支障もないのだが、ドラマ、映画、スラング、ジョークを交えた日常会話を100%理解して楽しむにはまだ大分遠い。

スペイン語のルーツは古代ローマ帝国で話されていたラテン語である。ラテン語ローマ帝国の中でギリシア文化などからの影響を受け、次第に洗練され言葉として確立されて行った。ラテン語は黙読の書物を読むだけではなく、聴き手を予想し、他者を説得するためにリズムと音の調和にも十分気を使った規律のある美しい言葉、また複雑な文法体系の確立へと進化して行ったらしい。一方、庶民で話される言葉は自由であるから地域毎に自然に変化して行った。複雑な文法など覚えにくい事項は省かれたり飛ばされたりして話されて行った。そしてそこからスペイン語、イタリア語、フランス語、ポルトガル語ルーマニア語に派生発展して行ったのである。8世紀にイベリア半島イスラム教徒が侵入し、その後、キリスト教徒による国土回復運動(レコンキスタ)が起こるが、その時期にローマ帝国で話されていた俗ラテン語(話言葉)が上記の諸国の言葉に派生していった。したがってスペイン語は文法的にはラテン語を踏襲しているのだが、単語はアラビア語から派生しているものが多い。全単語の8%がアラビア語からという研究もある。例えばaceite(食用の油)はアラビア語のaz-zayt(オリーブ油)、またazucar (砂糖)は as-sukkar、naranja(オレンジ)はnaranyaが起源である。

その後、15世紀にスペインは中南米の諸国をかたっぱしから征服し植民地化した。その際に原住民語と多く融合している。メキシコではナワトル語、マヤ語等と、ペルーではケチュア語との融合である。例えば皆さんおなじみの甘い食べ物はスペイン語ではChocolate(チョコレート チョコラテと読む)であるが、これはメキシコで話されていたナワトル語ではxocoatl(ショコアトルと読む)、Cocoa(ココア)はナワトル語でcacao(カカオ)と言っていた。スペイン人がメキシコを征服した際にアステカ人はカカオを栽培して飲み物やチョコレートを食していたが、これはスペインにはなかったものなのでそのまま取り入れたのであろう。

これらは一例であるが、スペイン語俗ラテン語から派生した後、歴史的にアラビア語の影響を強く受け、近隣のフランス語、イタリア語などからも影響を受け、極めつけは中南米征服の際に各国の原住民語をこだわりなく取り入れた。

こういう融合がメキシコだけでなくペルーでもボリビアでもコロンビアでも行われ、それぞれで方言のように話されているのでスペイン語学習者にとってやっかい極まりない。同じ意味を表す単語が各国で違っていたりする。またメキシコではアステカ語との融合や土着の言い回しが多く意味を理解するのに慣れなければ苦労する。例えばChingar(不快にさせる)と言う単語を使ったスラング、その多さはスペイン語圏のどこにもない。こういう言葉を使うのはメキシコだけである。Chingarの言い回しだけで一冊の辞書ができるほどだ。(実際、メキシコではその辞書が書店で売られていて私も1冊もっている)。メキシコ人もスペインのドラマや歌を聞いて意味のわからない部分や、「こういう言い方はメキシコではしないよ」と言うこともあるそうだ。東北と鹿児島のおばあちゃん同士が話をしてもまったく通じないというところまでは行かないらしいが。

スペイン語はこのような言語なので色々調べてみると面白く深みがある、ネイティブレベル目指してさらに勉強、研究を続けるつもりである。

では今日はこの辺で。